会計事務所への就職について記事にしてみたいと思います。
未経験での税理士事務所への就職について、ここ数年希望される人にお会いしたり、同業者からの話を聞いてみた話をします。
その中で感じたのが、世の中の会計事務所の未経験採用について、2つのパターンがあるようです。
1 ポテンシャル採用(ガッツ重視)
これは、やる気を重視して採用します。教育についてきちんと考えているところは、勉強して知識をつけていく過程の教育制度を持っています。しかし、当然、実務をしながらですので、夜勉強してもらうことを前提としており、テストに合格することである程度の学習成果を図っているようです。中規模以上(6人~)の規模であれば積極的に教育制度を持っているところもあります。
教育について、考える余裕のない事務所(主に5人未満)は、OJTで実務を行いながら指導します。先輩から教えてもらうのがメインです。個人主義の強い事務所は、自分でガッツで覚え、学びとっていくという職人養成のようなところも多いようです。
まだ、正社員や所長税理士が余裕のあるところは、このOJT機能が生きているとこもあるようです。
2 IQ型採用(地頭重視)
その人のIQを重視した採用方法です。吸収力の高い人間を採用するという方法です。どこの学校にも、努力が少なくても成果を出し続けた要領の良い人はいたと思います。
採用時にそのような人を探して採用するということです。
吸収力の良い人なので、教育(インプット)した内容を実践で活かす(アウトプット)するのが得意です。
期待以上のアウトプットを出してくることも多いです。
このタイプは、吸収力が高い一方、うたれ弱い人もいらっしゃるので、定着するまでに時間がかかることも多いようなので事務所の採用方針によるかと思います。
・簿記3級は必須か?
実務では、簿記3級からでも入力の仕事はあると思います。最近はAIがどんどん発展している
ので、キーパンチャー程度の能力では10年後、すぐに仕事がなくなる可能性があります。3級とったので、正社員としてそれだけで採用が決まるという人はあまりないように思えます。
よく同業者と話をするのが、簿記2級は入社への「最初の関門」という話になります。
簿記3級は1か月勉強すればとれる程度なので、ちょっとした自己啓発で簡単に取れます。
簿記2級は3~6か月くらいは勉強期間がかかるため、根気のあるなしを見極めるのに最適です。
実際の仕事では、クライアントの作成しためちゃくちゃな書類を丁寧に整理、集計することもあります。根気のある人は、頑張って取り組めますが、根気のない人は途中で嫌になってしまい、仕事が雑になったりクライアントと喧嘩する人もでます。
会計事務所は、根気のある人に門戸が開かれています。
では、逆に2級を越えて簿記論・財務諸表論の勉強をアピールする人ですが、実務とはあまり関係ないのです。税理士試験の困ったところは、試験が落とすことが主眼の試験であるため、実際の業務とは異なってくることが多くあります。長い目で見ると会計的な思考ができるようになるため、本人としては得ですが、単純に職につくというだけであれば不向きです。
むしろ会計事務所にアルバイトとして経験しながら試験勉強しているほうが、よほど就職できる可能性が高くなります。(実務に触れている方が喜ばれる傾向あります。)
よく、経理を希望される人は、営業が苦手意識がありデスクワークをしたいという人がいるように思えます。(かつて20代の筆者もそうでした。)
しかし業務である程度のところに行くと、顧客との接点ができてきます。また、顧客との接点を持つ中で、「***さんが担当で良かった」といわれることで仕事が面白くなったり、人生がより豊かになってくると思います。
ごはんを食べるために、お金を稼ぐことは必要です。しかしどうせ働くのであれば、より自身の人生を豊かにするほうが楽しいと思います。
本当に仕事が嫌で、夜・休日は仕事を忘れて思い切り遊びたいという人も世の中には多いかもしれません。初めの1~2年は筆者も会計業務が楽しくなかったです。(同業からも同じような話を聞きます。)その壁を越えたのは、「顧客との関係とやりがい」が少しずつ見えてきたからだと思います。
「短気は損気」です。「話のうまい人」が評価されるかというとそうでもないのがこの業種の特徴です。まずは「根気」そこにあなた自身の持ち味を隠し味としてトッピングするとぐっとうまみのある職業会計人になれるのではないでしょうか?